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執筆者の写真Femme Café

ケニアの映画館での話(井上)

広報の井上です。今回からファムカフェの活動だけでなくアフリカに関するいろいろな体験談もブログに載せていこうと思います。 ファムカフェに所属するメンバーのうち約半分がアフリカに行った経験があり、滞在国もケニア、レソト、マダガスカル、ウガンダ、モザンビーク、エチオピア、マラウィなど様々。 アフリカに関する旅行や留学情報も少ない中メンバーの経験は非常に貴重なのでみんなに色々と体験談を書いてもらいます。 先陣を切ってまず私がケニア留学中の話。映画に関するエッセイです。 午後に予定がないときはよく映画館に行ってました。 よく行くのは日本にもあるような複合型映画館(シネマコンプレックス)、ケニアでも割と普及していて把握しているだけで5軒。 大人の通常料金が600シリング(約600円、ほぼ1シリング=1円)、サービスデーなんかに行くと350シリングぐらい。 やっている映画はほとんどがハリウッド映画で作品の公開時期もほとんど日本と同じか少し遅いくらい。留学当時(2011年ごろ)やっていたのは「塔の上のラプンツェル」「ブラックスワン」「ガリヴァー旅行記」など。 大きく日本と違うのはお客さんの少なさ。日本でも映画館に行く人が少なくなっている傾向はあるけどケニアはその比じゃない。なんたって今まで6回行った中で自分以外のお客さんがいたことがないのだから。6回連続で映画館独り占め。平日ならまだしも休日でもその有り様。 当然、お客さんがいないとなれば従業員はさぼる。 「Batle:LA」を観に行ったときの話 10時15分開始予定なので10時10分頃、館内に入ると従業員らしき人物が3人談笑中。 「(僕の姿を見つけ)お!おまえ中国人か?」 「いや、日本人だけど・・・」 「日本人?日本ってイギリスの隣の国だろ!よくそんなところから来たな!」 (談笑しつつ15分経過、映画開始予定時刻から10分経過) 「ところでおまえ何してるんだ?」 「映画を見に来たんだけど(当たり前だろ!)」 「なんだそうだったのか。よし、今から始めるから座って待ってな。ちなみに何が見たいんだ?」 「BATTELE:LAを見たいんだけど」 「OKまかせとけ」 (席に着いてから5分後、上映予定時刻から遅れること15分、映画始まる。ただし、本編の途中から) 今までかなりの回数映画館に行ったけど、映画館で上映中に巻き戻し(できるんだ!)やピントの調節、音量調整しているのは初体験でした。ついでにいうと館内の電気つけっぱなし。30分ぐらいしたら消えた。 ここまで珍プレー続出なのは珍しいけど、お粗末な運営が映画館から客足が遠のいた理由ではなく(役所からレストランまでそんな感じだからみんな慣れている)、本当の理由は大量に出回る海賊版DVD。 「海賊版DVD」とは書いたけどこっちに来てから正規版DVDを見たことがないのでもはや「海賊版」が「正規版」になりつつあるように思える。海賊版DVDが路上じゃなくちゃんとしたショッピングセンターで売られているのだから始末が悪い。 試しに買ってみると一枚のDVDの中に20本の映画が入っている。もちろん画質は最悪、10年前にテレビ東京で昼にやっていた映画をテープに録画したものを15回ダビングしたような感じ。 劇中のテロップなどが中国語に置き換わっていることから中国の映画館で違法撮影したモノがはるかアフリカまで流れてきた模様。 このDVD内容は意外とこだわりがあるようで「ジョニーデップが出演した作品を中心に20本」「アカデミー賞を取った作品を20本」などなど。 最新の映画も入っていて、さっき映画館で見てきたばかりの作品が20本の中に入っていたりする。 値段は1枚200シリング(約200円)これじゃあ、映画館には行かないわ。 アフリカの中でもかなり発展しているケニアとはいえ、まともに仕事をしている人の月収が約2万円。失業率も高い。 頭がカメラのあの人も「STOP映画泥棒!!」とはなかなか言いづらい環境かも。 映画ファンの端くれとしてはなかなか複雑な気持ちな訳です。はい。

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